ベターメントで運用してそこそこの年月がたった。
働いていた会社が売れた。会社の価値を高めて売るためにヘッドハントされた仕事だったから売れるのはいいことだった。続ける気はなく成功報酬をもらいやめた。
ちょうどコロナ禍で株市場の暴落が起きる前だった。
価値のわからない成功報酬
成功報酬はストックオプションが現金化される形で支払われた。正確にはストックオプションではなくパフォーマンスストックユニット(PSU) だった。
PSUは成果を達成すれば与えられる株だが、この場合の成果とは会社の成果のことだ。自分の場合は会社が目標額で無事売却される事が成果ゴールだった。
この手の株を使ったインセンティブは多種あるが、非上場企業売却の場合、ストックオプションにしろPSUにしろ実際に現金化されるまで正確な額はまずわからない。売却時の企業価値次第だからだ。
アメリカでそこそこの規模の非上場企業はほとんどの場合PE(プライベートエクィティ)と呼ばれるファンド会社がオーナーだ。PEは企業を買収し成長させて売却するM&Aによって暴利を利益を得ている。
企業に値段をつける事をバリュエーションと言う。PEが使うバリュエーションはEBITDA(日本でいう営業利益みたいなもの)に係数をかけて出す。例えばEBITDAが10億なら10倍の係数をかけて企業価値は100億デスネーとなる。この係数も決まってなくて業界やマージン率などに左右される。
要するに実際売れるまで売却額はわからない。だから企業価値と連動した成功報酬もいくらになるのかわからない。
いくらもらえるのかもわからないまま成功報酬をあてに5年間がむしゃらに働いてたわけだ。
ようやく手にした成功報酬はそれなりの額だった。でも正直なところ、時には怒鳴り散らす上司の無理な要求に応え続けた報酬としては足りてなかったと思う。
コロナ暴落とロックダウン相場
そうこうしているうちにコロナ禍で株市場が暴落した。
メディアは大騒ぎだった。それに煽られた人たちも大騒ぎしていた。まるで世紀末がきてマッドマックスの世界が来るような話ばかりだった。
株暴落のたびに見る光景だ。正直あまり危機感はなかった。
それよりこれはチャンス到来だと思い、成功報酬でインデックスETFやFANG株を買った。
もちろんその先株が上がるか下がるかわからなかった。下落し続けても不思議は無かったと思う。下がっても時間が経てば戻すさ、と長期運用のつもりだった。
幸い買ったところが底値だった。
そこから株市場は急速な復活を遂げ、さらにロックダウン景気で上がり続け、一年もしたら成功報酬で買った株が倍になっていた。
とっくに会社は辞めていたが少し溜飲が下がった。
ベターメント運用
話はベターメントに戻る。
ベターメントでの自動運用はそこそこの運用益を上げていたがナスダックやS&Pのリターンには見劣りするものだった。
コロナ禍だしS&Pより安定した設定を選んだのだからまぁそれは仕方がない。
ベターメントの運用歴をチェックしてみるとやってることは理解できたし、そこそこ自分の思惑通りの運用になってはいた。
だがベターメントのやってる事を解析していると、わざわざベターメントを使わずとも自分でできる内容だと言うことにも気がついてしまった。
ベターメントは手数料が低いと言っても累計だとけっこうな額になる。手数料は利回りを減らす。将来的には相当な金額になるのだ。 これって価値があるのかと疑問が湧いてきた。