日本以外には住まない妹
妹は子供時代にオーストラリアの学校に通い、自分よりはるかに英語ができた。もちろん子供言葉だったけど、早口の英語がわかっちゃうし、ぺらぺら喋れるんだもん。うらやましかった。
そして妹は高校生時代はヨーロッパに住みフランス語も身につけ、日本で社会人になってからは外資系企業でずっと働いて、頻繁に海外出張もする。
そんな語学堪能で海外経験豊富な妹だが10代後半に日本に帰ってからは、二度と海外に在住しないと未だにきっぱり言いきっている。
いろいろと理由はあるが、つまるところ日本が良いのだそうだ。
日本旅行が大好きな自分
自分はオーストラリアで全日制の日本人学校に通っていて英語ができなかった。もちろん数年も住んでれば耳がなれてくるし、発音も真似できる、でもやっぱりよくわからずちゃんと喋れなかった。だから子供時代の海外生活は言葉がわからない世界で嫌な思いをした記憶が強い。
その後日本での生活経験もあまりなくアメリカ人として何十年も過ごしてきたから、妹のように日本に住みたいとは思わない。英語の方が楽だし。
それでも言葉が通じない地域への旅行は未だに好きじゃない。
昔、仕事でヨーロッパによく行っていた。もちろん仕事は英語だったがそれ以外は英語が通じない。自分にはそういった言葉が通じない国に行くのが正直なところ苦痛だった。
そんな自分には旅行先として日本は最高だと思う。
日本はきれいで便利だ。食べ物はおいしい。どこにでもアートがあって名刹がある。日本人は細やかで親切でやさしい。言葉も通じる。
他の国と比べることではないけど自分には最高の旅行先だ、日本。
日本との距離
自分も妹も日本に対してはっきりした立ち位置があって、そこに至ったのはやっぱり子供時代の海外体験によるところが大きいと思う。
思うに自分たちには子供時代の経験からくる帰国子女PTSDのようなものがあったのかもしれない。それで母国との関係や距離感を子供のころから意識するようになったのではないか。
でもそうやって日本との距離感を意識するのはなぜかというと、住むにしろ旅行するにしろ、自分たちは自分たちなりに日本が好きなのだと思う。だから自分も妹もそれぞれ心地よい日本との距離を見つけて今に至るんじゃないのか。
そう思うといろいろ紆余曲折はあったけれど、悪くないよ、日本。