万年筆は昔から持っていたのだけどなかなか使いこなせなかった。
なんせ字が汚いから。
近年万年筆が面白くなってきてついつい買ってしまう。手が届きやすい値段のばかり買ってるのだが、高価な有名ブランドやビンテージの万年筆も使ってみたい。コレクションしてみたい。でも臆してしまって手が出せない。
なんせ字が汚いから。
そこでこの歳にして一念発起してペン字を習うことにした。日本語ではない。アルファベットを習い直すのだ。それでスペンサリアンとかやっていたわけだけど、ほんとにちっとも上達がない。でも次の万年筆を早く買いたい。
なのでちょっと字が向上したという事にして見合うビンテージ万年筆をいろいろ物色して買った。それがこの1943 パーカー・バキュマティック・ジュニアだ。
1943年と言えばアメリカと日本の戦争たけなわだったころだ。そんな時代に作られたこの万年筆、驚くほどコンディションが良い。セルロイドのボディはよくよく見るとちょっとした傷はあるものの目立たない。とても艷やかで金属部品には錆も変色もメッキの剥がれもない。
戦争中はアメリカでも物資制限があり、このバキュマティックもプランジャー周りの本来はアルミの部品がプラスティックになっている。それらもコンディションが良い。きっと大事に使われてたんだろうな。
バキュマティックは光線によって輝く細かい寄木細工のようなパターンが特徴だ。このバキュマティックは寄木細工が黄金色に光るゴールデンパールで、小型サイズのジュニアだ。ボディは中のインクが透けて見える。外形やデザインは現代でも古っぽく感じない。時代に左右されない普遍性がある。
ウォーターマンのセレニティブルーを入れて試し書きしてみた。インクのフローはいいし、ニブがよく調整されているようだ。だがこのFニブの堅いこと。パーカーやシェーファーのビンテージ万年筆は「釘で書いてるようだ」と言われるがその感触そのものだ。
でも書くのは楽しい。