アメリカの個人退職口座(IRA) は日本の確定拠出年金をもっとフレキシブルにしたシステムだ。所得があれば誰でもできる。資産移換の制限も無く401Kなどの企業型年金から自由に資金を移動できる。手間はかかるが。
当初自分は投資は継続してやっていたけど退職口座への入金はやったりやらなかったりであとはほったらかしていた。
マーク
30歳の頃、転職した先に同年代のマークという同僚がいた。ノースダコタ出身で映画ファーゴそっくりの喋り方をするマークは以前はリバーサイドの米軍施設で(民間人として)ミサイルや軍用機が飛ぶCG動画を作る仕事をしていた。
軍の仕事は給料も環境も最低だったそうだが軍属公務員なので給料以外の待遇がとても良く、退職口座を即時ヴェスティングで100%マッチングしてくれた。これは退職口座にマークが入金すると雇用主が同額を入金して足してくれる制度でしかも無税だ。ふつうの企業では例をみない好条件だ。
マークはこの制度を利用し、社会人一年目から税制で許される最大額をせっせと退職口座に入金し、S&P500連動ファンドで運用していた。だから軍の仕事を辞めた10年後には退職口座の額が10万ドルをこえていたのさ、と教えてくれた。
老後計画
30そこそこで退職口座に当時の金額で10万ドルも貯めるなんて見上げたものだった。だがマークが自分に言いたかったのは実はもっと違うことだった。
マークは、自分の退職口座はこれ以上一ドルも足さなくても60過ぎまでS&P連動で運用してれば10倍の100万ドルになるんだよ。と説明してくれた。
退職口座を最大限活用して節税しながら貯金し、平均8-10%のS&Pの利回りで長期運用して老後に備える。というマークの考えは斬新だった。
今ではそれぐらいの事は誰でも知ってる。でもETFもろくに無かった時代に、20代前半の収入がないころからこれを実践していたマークは一般投資家としてはとても先を行っていた。
かたや自分は老後資金なんて考えてもいなかった。マークは特に財テク好きというわけではなかったのにすでに老後の事を考え準備をしていると言うのは衝撃的だった。
退職口座運用
マークの話を聞いた後は退職口座の事を勉強して、投資ファンドへの入金は続けながら毎年退職口座に最大額を入金するようにした。ボーナス(アメリカではたまにしか出ない)やストックオプションのヴェスティングなどの臨時収入もできる限り退職口座そして投資ファンドへ入金した。
さらに退職口座への入金は年度末の期限を待たず新年度すぐにするようにした。早く入金すれば運用期間を伸ばすことになるからだ。アメリカの株運用益7-10%で計算すると年度末まで待たずに新年度すぐに入金すれば10年毎に一年分余分に入金した事になる。
退職口座には種類があるが、仕事先に企業型個人年金の401Kと言うシステムがあればそちらを最大限活用するようにした。これは401Kの方が控除限度額が高いからだ。
ただ企業が用意する401Kプランは曲者で、低業績で手数料がバカ高いクズなファンドにしか投資できない場合が多い。401Kの運営会社もクズファンドも手数料を取れるだけ取るのが目的で従業員の老後なんかどうでもいいからだ。退職口座も銀行などを利用すると条件が良くない。
そこでジャヌスに退職口座を作り、転職したら旧職場の401K口座から転送して全部まとめて運用するようにした。
いろいろと勉強したおかげでそういった事がわかるようになった。
そうやって退職口座も含めた貯蓄投資が当たり前になり、ジャヌスで運用していくうちにそこそこの資産額になっていった。