アメリカの医療保険事情

日本の社会保険のシステムを最近知った。アメリカでも同じようなものなのだけど、幾つか違う点がある。一番大きな違いはアメリカでは健康保険は企業・個人が自己調達するということだ。この辺アメリカで会社勤めすると健康保険・医療費がどれぐらいになるかちょっと記しておこう。データは自分の給料からではなくて検索したものなのであしからず。

アメリカの医療保険料

アメリカで世帯あたりの医療保険料は月平均1000-1600ドルぐらいとされる。企業が一部負担するので個人負担はこの半額ぐらいになる。

ピンキリなのは理由がある。アメリカの医療保険は日本と違い民間企業が営利目的でやっている。企業を通した健康保険も個人の場合も同じく保険会社と契約して買っているものだ。

保険会社は儲けるためにリスクに応じて保険料を大幅に変える。年齢や居住地域などに応じて上下するのだ。特に対象者の年齢によって保険料は指数的に増える。例えば40代後半の人は30歳の人の1.5から2倍近い保険料を払うのだ。個人か企業のまとめ買いの健康保険なのかでも保険料は大幅に変わる。

企業によっては保険料を全額負担してくれたりする。教育機関もそういうところが多い。逆に自営業は保険料を全額自己負担するがどれも営利企業から保険を買っていると言うのは同じだ。

個人負担額

アメリカの医療保険は個人負担額を選べる。保険料が安いと自己負担額が多い。最高級のプランは自己負担が10%で済むがもちろん保険料もやたらと高い。

この保険料以外の医療費の自己負担額だがアメリカでは医療保険を使っても一世帯年平均20−30万円の医療費を払っているとされる。

ちなみに医療保険には歯科は含まれない。歯科保険というのがあるが一定額まで治療費が割安になる程度のものだ。

合計すると健康なふつうの家族の世帯が年間通じてちょっと医者にかかって歯もちょっと治して、とふつうにしてるだけで保険料+医療費が年間100-150万円かかってしまう。

個人負担額のわな

上記の個人負担額だが、これはあくまでも健康な人の話で、病気になったりしたら出費は数倍どころか数十倍に跳ね上がる。

高額医療費に加えてアメリカの保険会社は難くせをつけて支払いを拒む場合が多いからだ。

アメリカの医療保険では out of pocket maximum と言って、医療出費の個人負担額の上限が決まっている。

だがこれがあるからと安心してはいけない。これは保険会社が適用と認めた額の話で、医療機関が請求してきた内容が適用外だったら全部個人負担で限度額は無い。

だから保険会社は治療の事前許可を得なかったとか、ネットワーク内の医療機関の請求ではないなどの理由で保険適用を拒否することが多い。

それも例えばネットワーク内の医療機関に行ったのに医者が契約社員のような形で働いていてその医者の名義で請求が来るとネットワーク外と見なしたり、などとなんでも口実さえ見つけられれば適用外にしようとする。

さらにMRIは6ヶ月に一回以上は払わないとか、特定の血液検査は適用外だとか、治療項目ごとに患者には事前に知らされない細かい適用ルールがあり、適用しないとされたものは上限額の計算に含まれない。

こうやって不合理に適用外にされたら一つ一つ保険会社に食い下がって払わせないとならない。アメリカで医療を受けるのには何かとこじつけて払おうとしない保険会社とやり合って払わせるということでもある。

アメリカ人の老後

高い保険料を払ってるのに医療費の心配もしなければならないのがアメリカ人のつらいところだ。さらに医療保険料は収入に関係なくリスクつまり年齢に連動している。だから歳を取るにつれ収入が低い人の保険料負担が相対的に重くなってくる。

アメリカでは65歳以上は高齢者医療保険があるのでそこまでたどり着けば医療が保障される。だがその手前の年齢層の年収は全米平均で5万ドルぐらいしか無い。この年齢層は下手をすると収入の3割以上が保険料と医療費に消えていることになる。

こと医療となるとアメリカは壮年層や病気の人達にとても無慈悲だ。そう思うと健康でいれるのが一番だとつくづく思う。

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