Garden of Unity

サンディエゴの日本庭園の歴史をドキュメンタリー映画化しようというプロジェクトがKickStarterで始まっている。

アメリカの西海岸には北はシアトルポートランドから南はサンディエゴまで日本庭園がある。 シアトルやポートランドの日本庭園は近代に日本人造園家が設計した立派なものだが、サンディエゴの日本庭園は1915年万博のために作られた茶室がもとになっていて歴史が長い。

1915年といえば大正時代で、茶室や日本庭園は日系移民の努力で万博の後20年以上一般に公開されていた。当時はアメリカで排日移民法ができたぐらいの時代で、日系人に風当たりが強い中それだけの事をするのは大変だっただろう。

だがやがて太平洋戦争がおこり日系移民は財産没収、そして強制収容され庭園は破壊されてしまう。

その後1950年代からまた30年以上かけ、姉妹都市の横浜市の協力もあり少しずつ日本庭園が建設されて今にいたるそうだ。

大金を投じて造園された庭園と違い、戦前も戦後も日系移民とその子孫の努力で時間をかけ保存・再建され一般に受け入れられてきた。

その歴史は苦難を乗り越えアメリカ社会に同化しながら「日本」との繋がりを失わなかったサンディエゴ日系移民の100年をそのまま反映しているとも言える。

実は自分はそんな事ちっとも知らなくて、そう言えば30年ぐらい前は日本庭園って閉まってて入れなかったよな、という記憶があるぐらいだった。だが歴史を知ると自分がサンディエゴで過ごしてきた時間と重なってて興味を持つようになった。

日系移民の過去は意外と身近な世界で実際に経験した人たちに出会う事もある。例えばサンディエゴの南の方に日本人の間では有名な寿司屋がある。そこのおやっさんはそんな昔の話を知っていて聞くといろいろ教えてくれる。

だがそういうストーリーは時とともに消えていってしまう。だからそんな歴史が、フィルムで撮ったモノクロ写真のように形になって残ればいいな、と強く思う。