遺伝子と自分 (3)

で、まずは健康関連の遺伝子検査の結果をみてみよう。 

一番気になるのは病気と関連する危険因子だ。危険因子があった場合、どんな病気のリスクがどれくらいかでる。自分の場合、不整脈の危険因子があるとなっていた。 通常、不整脈のリスクは3割弱だが自分は4割ぐらいだそうだ。 他にもちょびっとだけ平均よりリスクが高かったり低かったりする危険因子があるが、不整脈の危険因子だけがはっきり高い。

そう言えば自分の血縁にも不整脈がいる。遺伝子由来なのか。それがわかるなんてすごいじゃないか。 

検査結果に不整脈の詳細ページへのリンクがあり、それをたどると、細かい説明と予防法まで出ている。おぉ、これで不整脈を避けて長生きできる。これだけでも遺伝子検査する価値があったじゃんか。と見ていたがいくつか不思議な事がでてきた。 

まず、この不整脈の危険因子はヨーロッパ系人種にあてはまる、となっている。危険因子を判別した調査にアジア人が含まれておらずはっきりと言えない、ということらしい。 なので、自分の不整脈リスクは欧米人だったら、という非現実な数字だ。

まぁとりあえず自分にも当てはまることにしてさらに見ていく。するとまた不思議な事が出てくる。

危険因子は、病気が発生する確率を上昇させる因子だ。逆にいえば発生は遺伝に100%左右されない。残りは環境や生活習慣などのファクターに左右される。不整脈の場合、危険因子は発生原因の50%だけだ。なので自分の不整脈リスクというのは目安でしかない。

因子にもよるのだろうが、危険因子と病気の関連は統計的なものなので不整脈の危険因子があったからと言って不整脈になるわけではない。それどころか本人の努力しだいでリスクは変わってしまう。

危険因子があるとその病気になるかもしれないし、ならないかもしれない。自分の危険因子の存在を知っても未来はあやふやなままなのだ。

さらに、最初は感心した不整脈の予防法だが、内容は酒を呑み過ぎるな、とか運動しろよ、とか肥満はやめとけ、など健康に過ごすには当たり前なことばかりだった。自分の病気のリスクがわかるというのは大変面白いのだが、これだけでは自分の遺伝子を知って人生が変わる、とまではいかなかった。

(続く)