湖の一周は、音楽を聞きながら走る。
ポルシェ乗ってても湖走っても、走ってる時はひとりが良い。だから声がしない音楽が良い。 なのでEl Ten ElevenやGoddamn Electric Billの曲をかけて走る。
そうやって走っていると光景を見る目も変わってくる。 湖は貯水湖で、気取ったネイチャー写真が撮れるような場所ではない。 でも走りつつ光の加減とかを見てると、眩しいぐらいの光を思いっきり軟調に撮ったらどうなるんだろう、と思うようになり、ついにはカメラもって走るようになった。
最初は1930年代物のライカIIIaにエルマー着けてネオパン400詰めて走った。バルナックはずっしりとくる。 けど、リストストラップ着けて手に持てば大丈夫だ。
音楽聞きながら走り、前方に開ける光景に到達すると立ち止まってシャッターを切ってまた走る。それを繰り返していたら一周している間に36コマ一本撮ってしまった。
かえってすぐにロジナールで静止現像してみたらフィルムには見慣れた風景が見たこともない陰影で写っている。
でもカメラ持ってた腕は筋肉痛になって辛かった。そこでフォルダーなら軽くて持ちやすいかと、1950年代製造のフォクトレンダーVITO IIを持って走った。本家カラースコパー 50/3.5シャッターレンズは写りは良いが、シャッターの最高速が遅いので、ネオパン400をEI200で撮った。 明るい世界がさらに暗く写って面白かった。
でも走ってる時の光景って前後左右に広がって流れている。 この感じが写真に出ない。それならパノラマで撮ろう、とXPAN持って走った。 XPANはかなり重い。さすがにリストストラップで走れないのでストラップをたすき掛けして走った。 そしたらなんとなく自分がイメージしてる写真が撮れて面白かった。
で、次はどうしようか、もっと重いカメラでも平気だな、とか考えだしたが、このままだと大判カメラ抱えて走ったりしそうな事に気がついて我にかえった。
おとなしくバルナック持って走り続けることにしようかと思う。