以前書いたM42のカール・ツァイス・イエナの銀胴テッサーの続き。
自動絞りのカメラでは動かない銀胴テッサーを加工してしまおうと言う事になった。 自動絞りレバーに当たってしまう部分を削ってしまうのだ。
と言っても写真を見ればわかるように丸いものを丸く削らなければならない。 これは手作業ではかなり難しい事だ。
やり方はDremelという小型高速ドリルに研削用のビットをつけて手で削る。 このとき気をつけなければならないのが一箇所を深く削ってしまわない事だ。 なので最初は黒い塗装をはがすつもりで少しずつ削る。
いったん削れたら今度はマジックで削れた面を塗りつぶし、これをはがすつもりで少しずつ削る。 そしてシャッターが切れるか時々カメラにマウントして試す。 でも研削面が粗いと自動絞りのレバーが引っかかってレンズが取れにくくなる。 なのでマウントする前にペーパーでそこそこスムースにしながらやらないといけない。
やりだしてから後悔したけど、えらい手間のかかる大手術だ。
とにかく長いあいだ歯医者を思い出させる音に耐えながら、最後にはようやく自動絞りのレバーがクリアできるぐらいまで削ることができた。 レンズの最後部にミラーが少しだけど引っかかるのでこの面はペーパーで研削した。
出来上がってレンズを仮に組み上げたのが写真の状態だ。 このままだと乱反射が出るのでまたばらしてマウント後部を黒く塗って出来上がりだ。
この後ヘリコイドを清掃してグリスをつけた。鏡胴もDremelにプラスチックのブラシを付けて磨いた。 ピントや絞りのリングのギザギザに溜まっている汚れを一掃。 組み上げたらスムースに動くし60年も昔のレンズとは思えないぐらいキレイになった。
ついでに鏡胴にコンパウンドをかけて鏡面仕上げにしようかと思ったけどさすがにめんどくさくなってやめにした。
このテッサーをつけたSPはかっこいい。 オリジナルよりかっこいい東独のカメラに見えてしまうから不思議だ。 テッサーは意外と寄れるし、SPでピントも合わせやすい。 プリセット絞りも慣れればどうって事ない。 だからすぐに何本も撮ってしまった。
フィルム現像するのが楽しみだなぁ。